かたはねのてんし


片羽の天使は
てくてく てくてく
地面の上を 歩きます。

空を見上げると
仲間達が飛んでいます。


「僕の羽は 何のために付いているんだろう。」


立ち止まって考えても分かりません。

片羽の天使は
だんだん悲しくなってきました。


「えーん えーん  ぐすっ・・・」

「あれ?」
「僕は泣いていないのに どうして泣き声が聞こえるのかな?」

周りを見渡すと
小さな女の子が泣いていました。
片方の羽しかない小さな肩が震えています。

「どうして 私の羽はかたっぽだけなの?」
「神様は 私を愛して下さらなかったの?」


「ねえ、」
「二人なら 飛べるかもしれないよ。」


片羽の天使達は
てくてく てくてく 歩きだしました。


「飛べないね。」 「そうだね。」

二人でも やっぱり飛べなかったけど
繋いだ手が暖かいから
うれしくて うれしくて
心が軽くなりました。

ふわり

いつの間にか
二人は雲の上にいました。

片羽の天使達は
ふわふわ ふわふわ
今日も一緒に歩いています。



06/03/02

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