私は何度君を失うんだろう。


君がいなくなった日の夜、夢を見た。
夢の中の君は、元気だった頃の姿。
私は「あれは悪い夢だったんだね」って泣いた。
君は笑っていた。そんな気がした。
なんて都合のいい夢。

そこで目が覚めて、また泣いた。
夢から覚めた夢の中で、静かに泣いた。
泣き疲れて、夢の中で眠りに落ちた。
そして、何度も何度も繰り返す。
先に進むこともなく、前に戻ることもできない。
君のいる(せかいから動けない。


最後の夢。
もう君がいないのは確かな現実だと、やっと私は理解した。
それなのに、君は私の前に現れる。
そんなはずはない。もう君はいないんだから。

幻覚相手に、そっと手を伸ばす。
意味のない行為。
きっと虚しく通り抜けるはず。
そしたらきっと、現実を直視できる。
それなのに、指先には暖かな温もり。
確かに刻んでいる鼓動。
君を抱き締めて泣いた。


気が付くと、ひとりベッドの中にいた。
もちろん、君はいない。
窓の外は暗闇。冬の朝は、何も照らさない。

残酷だ。なんて残酷な夢だ。
私は何度君を失うんだろう。



07/12/07

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