私が笑うと、貴方も笑うから。


誰にも分かってもらわなくていい。
いつかのあの日、そう決心したのに。
その笑顔が、優しい声が、温かな手が、
私の心を弱くする。

だって、私は強くないもの。
誰かに受け入れてもらえないと生きていけない。
丸ごとの私を受け入れて欲しいの。

そんなの無理だってわかってるのに
限りなく低い可能性だとしても、
ゼロじゃないなんて自分を騙し続けて。
世の中がそんなに優しくないって知ってるけれど、
それでも、都合のいい幻想は見てたいの。

なのに、そうして手に入れた幻想は、時と共に崩れ去る。
あの笑顔も、優しい声も、温かな手も、
今はもう側にはない。

ごめんねなんて聞きたくなかった。
あの人の嘘は、私にとって最上の夢だった。
虚しい夢でも構わなかった。

だからどうか、貴方だけは。
優しい嘘で、最期まで騙し通して。
そうしたら、私はずっと笑っていられる。

私が笑うと、貴方も笑うから。



07/08/17

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