102 コロシテ

私が何も気づいてないと思ったの?
遊ばれていることに気づかない鈍い女だと思ってた?
健気に尽くし続ける馬鹿な女だと思ってた?
ふふ、面白いくらい騙されてくれたね。
私を見る目が変っていく様を見るのは楽しかったよ。
大好きな人が自分のせいで変わるなんて素敵でしょ?
それだけ私の存在が大きいってことだから、
貴方の思考を支配していくみたいで気持ちよかった。

でも、もう限界だね。
欲を言えばもっと怯えた目を見たかったけど、
貴方の精神は思ったより脆かったから。
壊れていく貴方を見ていくのも面白そうだけど、
貴方が私を見ていなきゃ意味がないの。
だから、少しの間だけ自由にしてあげる。
終わりに向かって急ぐのもいいけれど、
小さな希望を絶望で塗りつぶす方が面白いでしょう?
代償は大きいけれど、そんなのはどうだっていいの。
これで貴方は逃げられなくなるんだから。

さあ、愛をうたったその口で毒を飲ませて。
私は一瞬目を見開いて、ありがとうと言って微笑むから。
そんな私を見たら、貴方はどうなっちゃうかな。
側には私が飲み残した毒杯。
貴方がどうするかは目に見えてる。

さあ、早く私を殺して。
貴方に殺された私が貴方を殺してあげる。
今度こそずっと一緒だよ。地獄の果てで、ね。


「005 ただの遊び」と対になってます。
07/10/19


戻る